空き家対策例

増え続ける空き家が社会問題になり、深刻化しています。

現在、不動産業をしている私自身も昨年の春まで約17年間、空き家を保有していました。

その「我が家の空き家対策」についてお話いたします。

空き家の管理

今から18年ほど前に父が亡くなり、実家が空き家になりました。

それからの約17年間は、母と姉と私の三人で、一月半に一度ぐらいのペースで実家の掃除、庭の草刈に行っていました。

掃除、草刈は、結構たいへんでしたが、緑に囲まれた中でリフレッシュでき、また、掃除をしていると懐かしいものが出てきたりして、楽しみもありました。

空き家となり5年ぐらい経った頃、私は、まだ今よりは(笑)若くて元気もあったので、「ひょっとしたら将来この家に住むことがあるかもしれない」と考え、母とも相談して、屋根を葺き替えたり、外構の整備等をしました。

空き家のトラブル

17年間の間には、冬の寒さで給湯器の管に小さな穴が開き、そこから水が吹き出たり、空き家になっているのをいいことに、周辺の水道工事をしていた業者が、勝手に車庫に資材を置いたりしていたことがありました(この業者は私がアコーデオンのシャッターをロープで縛りつけているのをほどいてまで不法侵入していました)。

どちらも、すぐに近所の人が私の方に連絡してくださりわかりました。水道が漏れているときには、ごていねいに水道の元栓を閉めてくれていました。

近所の人には、あらかじめ何かあったらすぐに連絡してくださるようお願いしていました。

空き家が負担になる

空き家になり、15年ほど経った頃、一度は「将来この家にまた住むことがあるかもしれない」と考えたこともあったのですが、それから10年も経ち年齢を重ねると、だんだんと、掃除や草刈がしんどくなってきて負担に感じるようになってきました。

脚が弱い母は、庭には石畳の凹凸があるし、家の中も段差があり、歩くのにも苦労するので、「もう私はあの家には行けない」と言い出しました。

それまで、毎月の水道、電気代、毎年の固定資産税、都市計画税等も支払い続けてきて、それも「もったいない」と思えてきました。

賃貸か売却か

そこで、三人で話合い「賃貸か売却かのどちらかにしよう」ということになりました。

賃貸なら、家の補修をしなければならないので、思い切って売却するか、どうしようか考えたのですが、とりあえず両方で進めてみようということになりました。

幸いなことに、私自身が不動産業をしているので、「それならお任せ!」ってなものです(笑う)。

私は早速、加盟している不動産協会の広告サイトに「賃貸と売却」の両方の広告を掲載しました。

それから半年ぐらいの間に、賃貸、売却ともに数件の引き合いがありましたが、成約というところまではいきませんでした。

私たちは、売却するなら「私の父親が築いた家や庭の良さを分かっていただける人に買ってもらいたい」と考えていました。

ところが、その願いに叶うようなお客さんが現れなかったので「もうしばらく持っておこうか」と考え、いったん、賃貸と売却の広告を取り下げました。

売 却

ただ、新たに「市役所の空き家バンクにだけは売買希望で登録」しました。それは、わざわざ市役所に問い合わせをされるような方は「堅い人なのではないか」と考えたからです。

そうしたところ、登録して間もなく引き合いが入り、話が順調に進んでいきました。

私たちにとって、何よりうれしかったのは「この家の良さを分かってくれたこと」でした・

その買主の方は、二世帯で住まれるとのことで、私の家の現状を気に行ってくださり、そのままの状況で住んで下さるということでした。

契約が決まり、私たちは家の中のものを片付ける作業に入りました。2年ほど前に、母親が「私がまだ元気なうちに」ということで、整理業者に頼んで、大方のものは片付けていたのですが、それでも、家の中には、写真とか小物類、父が収集していた工芸品とかが、かなり残っていました。

私は工芸品をひとつづつ手にとって見ていたのですが、それでは、「ちょっとやそこらでは片付かない」ということが分かり、古物商のかたに引き取ってもらうことにしました。

なんだかんだで、片付けには一週間ぐらいかかりました。

最後に姉と二人で家の掃除をして、買主の方にお引き渡ししました。

こうして我が家の空き家対策は完了しました。

最後に

長年家族で暮らした、思い出の詰まった家を手放すということは、寂しいことでもありますが、「家にとっても、空き家のままで置かれているよりも、人が住み活用してくれたほうが嬉しいに違いない」と思います。

「これで良かった」と思っています。

 

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