アーモンドアイ

3冠牝馬のアーモンドアイのジャパンカップ参戦。

単勝1.4倍と、圧倒的支持率。

「普通に走って周ってくれば勝てるだろう」と思ってはいたが、それでも彼女はまだ3歳の牝馬である。

それも初めて、強豪ぞろいの年上の男馬たちを相手に戦うのだ。

 

普通の精神状態で走れるだろうか?

もまれたときにヘコマズ走れるだろうか?

増してや枠は最内の1番、包まれて前に出られないということもある。

 

そんな不安もあったが、

スタートをあおり気味に「ポンッ!」と出ると、ルメール騎手は、そのまんま先行策に出た。

それから、道中は、前後にスペースを開け、他馬にもまれないよう、アーモンドアイを導いていた。

このあたりが、ルメールの上手いところだ。

 

これを見て、私は「勝ったな!」と思った。

 

もしアーモンドアイが負けるとしたら、最内枠からのスタートで後方からになり、直線で前が詰まり、力を発揮できないまま終わるということが考えられたが、そうではなく、アーモンドアイが他の強豪馬たちの前にいるのだから、この時点で勝負ありだった。

 

先行策に出たアーモンドアイは、途中から先頭を絶妙なペースで走るキセキの後ろにつけ、見るからに余裕のある手ごたえで追走している。

 

この楽そうに見えた追走も、とても高い能力を秘めたアーモンドアイだからできたことだろう。

他の強豪馬たちは、追走できずに離されたいた。

 

だんだんと先頭を走るキセキが苦しくなってきたところで、アーモンドアイは、ルメールの鞭を2、3発受けて、キセキを難なく抜き去った。

 

普通なら逃げ切れていたキセキの走りも見事だったが、今回は相手が悪かった。

 

それにしても、なんて強い馬なんだろう!

 

化け物、怪物、そんな言葉が思い浮かび、「その強さに恐ろしささえ覚えた!」

 

競馬のレースを観て、こんな感覚を覚えたのは初めてだった。

 

走破タイムは、それまでの最速タイムを1.5秒も縮めるレコードタイムだった。

 

それも6着の馬までが、それまでの最速タイムよりも早いという、とてもレベルの高いレース内容だった。

 

今回のジャパンカップは、名レースとして未来永劫語り継がれることだろう!

 

私の競馬ファン歴はたかだか15年程度のものだが、

そのなかで、一番強かったと思う馬は、ディープインパクトとオルフェーブルだ。

 

ディープインパクトは、「スピードとキレ!」

オルフェーブルは、「猛々しい力強さ!」

 

そんな印象だ。

 

そして、アーモンドアイは、スピードとキレ、持続力、力強さを兼ね備えている.

 

今回のジャパンカップを勝ったことで、3歳の秋にして、もう国内には戦う相手がいなくなった。

 

レース後の勝利インタビューの時、

スタンドのファンから「凱旋門、凱旋門」の声が上がり、

それを受けてルメールも「凱旋門賞への挑戦」を口にした。

 

日本の競馬に携わっているホースマンたち、競馬ファンの夢

「凱旋門賞制覇!」

 

アーモンドアイなら、その大きな夢を実現してくれるかもしれない。

 

来年の秋が楽しみになった。