私が会社勤めをしていた20代半ばの頃の事、ボーナス査定に納得がいかず、会社に抗議をしたことがある。
私は、誰がいくらもらったかなど、詮索するようなことはしないし、自分がいくらもらったなどと、人に言うようなことはしない。
けれども、社内の中には「俺はいくらもらった」と吹聴するような人間がいて、たまたま、その話が私の耳に入ってきた。
「なに、あいつがそれだけもらっているのか」「それはおかしい!」
「私の方が、あいつよりも仕事をしているのに!」
納得いかないと思った私は、直属の上司である課長に抗議した。
するとその課長は、支社長に話を上げてくださった。
後日、私は支社長と面談をすることになった。
支社長 「君のいうことはわかる」「確かに君の言うとおりだ」
「しかし、今から君のボーナスを増やすとなると、全社員のボーナスの割り振りをやり直す必要が出てくる」
私 「わかりました」「私は金額のことを言っているのではなく、あの人よりもなぜ、私の方が評価が低いのか、
それは納得がいかないと申し上げているので、そのことを、わかっていただけたのならそれで結構です」
とお答えした。
認めてもらえたのなら、それ以上、どうこういうつもりはなかった。
この話は、当時、私が26歳ぐらいだったから、今から35年ぐらい前の話になる。
後から考えればだが、私よりもボーナスが多かったという人は、私よりも年齢が一つ上で、私の先輩にあたる。
ということは、当時はまだ年功序列重視の時代であり、査定がどうこうというよりも、年齢によって支給額が決まっていたのだろう。
まだ若かった私は、そんなことは考えもせず、「あいつよりも俺の方がよっぽど仕事をしている」という自負があったので会社に対して抗議したのだった。
現在は、旧態依然とした年功序列ではなく、成果報酬というような形に移行してきているが、当時の私の中には既にそんな考えがあったと思う。
ボーナスとか給料は、社員個々の成果に応じて支払うべきものだと思う。
受け取る金額に納得が行かなければ、交渉すればいいと思う。