夢か現か「上がり過ぎる売り上げに苦心した」バブルの頃の営業会議

売り上げが上がり過ぎて困る

そんな信じられないような話が過去にあった。

あれは確か1986年のことだったと記憶している

私がある地方都市の営業所から大阪支社に転勤になって2年目のことだった。

その頃の営業会議はこんな感じだった。

営業部長「・・君、来月はどうだ?」

「来月は、あそこの現場が2000万はあります」

「・・君は?」

「私は、あの現場が3000万あります」

「・・君は?」

「私は市販のルートで1500万は上がると思います」

・・・・・・

次から次に営業マンの口から景気のいい話が出てくる

営業部長は「困った!」「売り上げが上がり過ぎる」と言いながらも、その顔は緩みっぱなし(⌒∇⌒)

「どうするかなあ?」

あまり売り上げが上がると、来年からの目標設定が高くなるため、できれば売り上げは必要以上には上げたくないところである。

翌月に回せるものならと、

「来月はどうだ?」

来月も、もう売り上げ達成は見えています」

再来月も達成見込みです」

と課長が答える。

「そうか」

ここのところ、毎月、ずーっとそんな状態が続いている。

結局その時は思案したあげく、それほど売り上げが上がってなかった地方の営業所から応援の人間を寄こしてもらい、売り上げを分配することにした。

その頃、売り上げを達成すると支社のみんなで中華料理を食べに行くことになっていたのだが、当初はみんな喜んで参加して「美味しいね」とワイワイガヤガヤと楽しくやっていたのだが、毎月、それが続くものだから、そのうち「また中華ですか」「もうあそこならやめときましょう」という人間が出てくるという始末だった。

人間というものは贅沢なものだ(⌒∇⌒)

当時、経理の課長が実家に帰るため、数年前に1600万円で買ったマンションを売りに出したところ、3000万円で売れたとか、協力業者の社長が2000万円で買ったゴルフ場の会員権が、今は6000万円に上がっているとか、出入りしているゼネコンは、既に向こう20年の仕事を抱えているとか、そこら中、景気のいい話で持ち切りだった。

建設現場はいくらでも人が必要だから「ニッカポッカ(作業服)を着て現場に立っていれば、日当2万円もらえるよ」とか、本当か嘘かわからないような面白い話も聞いた(⌒∇⌒)

不動産・株・ゴルフの会員権などなど、価格は天井知らずのように上がっていった。

その頃は、世界の有名な絵画や不動産を日本の会社が買いまくり、ジャパンマネーが世界を席巻していた。

イケイケドンドン  未来はバラ色  夢と希望に満ちあふれているようだった。

その時のことを、今思い返して表現するとしたら、そう、「高校生の時に、ちょっとしたことを大げさに面白おかしく話して、みんなで大笑い」そんな感じだった(⌒∇⌒)

世の中全体がそんな感じで浮かれまくっていた。

なにか世の中が騒然としていて、毎日、お祭り騒ぎをしているようだった。

当時はそれが中身があるのかとか、いつまで続くのかとか、そんなことを冷静に考えられる人がいたのだろうか。
いるにはいただろうが、多くの人は大なり小なりその渦中の中にいたと思う。

今、こんな古き良き時代?の思い出話を書いているのは、最近、バブル期を再現したドラマや「バブルは何を残したか」という特集をテレビで見たから。

見ていると、当時のことが思い出され、心が躍ってきたから(⌒∇⌒)

もう40年近く前のことになるけれども、その頃のことは鮮明に覚えている。

とにもかくにも面白い時代だった。

けれども、そんなバラ色の日々はいつまでも続かなかった。

やがて、ふくらむだけふくらんだ風船は破裂した

後に、人はこの時代のことをバブルと言うようになった。

そして、バブルに踊らされた人たちは、厳しい現実を突きつけられることになった

もちろん、私が勤めていた会社も現実に引き戻され、毎月の売り上げをどうやって上げるのか、頭を悩まされることになった。

「たまには中華料理食べに行きたいよねえー!」(⌒∇⌒)

時代は、昭和から平成へ、そして令和へ

たぶん、もう二度とああいう時代は来ないのかもしれない。