明け方の午前4時。
目覚し時計にたたき起こされた私は「ワールドカップの舞台でスペインと戦えるなんて、もう二度とないかもしれない」「勝つことは難しいかも知れないけれど、いい試合を見せてほしい」そんな思いでテレビの前に陣取る。
前半,早々に失点し「この先どうなることやら」と不安がよぎるが、前半1点で抑えきったことで「ひょっとして勝てるかも」そんな予感がした。
そして、後半に入ると早々に追いつき逆転、そのまま、スペインの猛攻を抑えて勝った。
「勝つのは難しいのでは」と思っていたスペインを相手に勝った。
数日前はドイツに勝ち、今度はスペインに勝った。
「今起きていることは現実なのか」
29年前、ワールドカップ初出場を目前にして夢破れた「ドーハの悲劇」、その4年後、ワールドカップ初出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」を目の当たりにした世代としては、そう思えてくる。
その頃、ドイツやスペインを相手に勝つことなど、考えられなかった。
けれども、ワールドカップ出場の回数を重ねるたびに、世界との差を痛感させられ、何度も悔しい思いをしてきた日本チームは、その悔しさをバネに、一つ一つ壁を乗り越え強くなってきた。
それが、ここまで来るとは。
「ドイツやスペインに勝つ日が来るとは!」
私の中では「もう十分に歴史は変えられた!」と思っている。
しかしながら、そんな悲劇など知らない若者たちは「まだ歴史は変えられていない」「次、勝ってベスト8に進み新しい景色を見てみたい ! 」と言っている。
「なんとも頼もしい限りではないか ! 」と思うと同時に、「時代が変わったんだな」と思った。
今大会、死のグループと言われたEグループ。
日本がドイツとスペインに勝ちトップ通過することなど、だれが予想できただろう。
まだまだ、夢は続く。
ガンバレ、日本!