夜明けが早い
知床に来て3日目の早朝、外が明るくなっているのに気づき、「ありゃー、寝過ごしたか?」と思いきや、時計を見るとまだ4時過ぎ、「えー、もう外はこんなに明るいの!」と驚く。
そうか、「この辺りは、夜が明けるのが早いんだな」と気づいた。
早めに食事を済ませて出発することにする。
今日は、今回の知床旅行の一番の目的である「シャチを見に行く日」だ。
今から胸がトキメク。(⌒∇⌒)
その観光船の予約は午後1時からなので、その前に、フレぺの滝を見に行くことにする。
フレぺの滝 遊歩道
9時過ぎに知床自然センターに到着して、駐車場に車を置いて、フレぺの滝に向けて歩き始めた。
フレぺの滝までは、約1kmとのことだった。
歩き始めるとすぐにうっそうとした林になった。
「えー、こんなところを歩いて行くの」
「ヒグマ、大丈夫?」
「私は不安になってきた」
センター内には、「いついつヒグマに遭遇した」という情報が掲示されていたり、「ヒグマに対する注意書き」があった。
ただ、昨日訪れた知床五湖では「散策するにはレクチャーを受けて、かつガイドさんの同行がないと歩けない」ということだったが、ここでは、そういうことはないみたいだったので、知床五湖ほどは、危なくないのかな?とも思えて、そのまま先に歩いて行った。
ヒグマに遭遇したら、「大きな声を出す」「手を広げて大きく見せる」というような注意書きはチェックしていたので、ユーチューブで永ちゃんのガンガンのロックを引っ張り出して、スマホを片手に大きな音を流しながら歩いた。(⌒∇⌒)
その時の私は、冗談ではなく、至って真剣でした・・・(笑)えない。
まだ朝早い時間だったので、歩き始めてすぐに、数人の人とすれ違いはしたが、それ以降は、すれ違う人はいなかったし、私の後ろから来る人もいなかった。
私一人、こんなところでヒグマに襲われて、林の中にでも引きずり込まれたら、だれも気付いてくれる人もいない。
これがまだ、一緒に行く人がいて、「怖いなあ」「ヒグマ出てこないかなあ」なんて、しゃべりながら、歩いていたら気も紛れたのだろうが・・・・・・・
いよいよ怖くなってきた私は、知床自然センターに引き返すことにした。
「ここまで来て、フレぺの滝を見ずに引き返すのも惜しいなあ」とは思ったが、恐怖心の方が勝った。
センターの手前まで戻ってくると、滝に向かう一組のご夫婦とすれ違った。
もう少し戻ると、また一組のご夫婦とすれ違いそうになったその時、すれ違いざまに私は、思わず「すみません、ヒグマが恐いのでご一緒させていただけませんか」と声をかけていた。
そのご夫婦は苦笑しながら「いいですよ」と快諾してくださった。
歩きながら、昨日、私が乗船を予定していて欠航になった観光船に、このご夫婦も乗船を予定していたこと、横浜から来られていること、このフレぺの滝を訪れるのは2度目であることなどの話を聞かせていただいた。
しばらく歩いていると、林の中を抜けて周りが見通せる開放的なところに出てきた。
「あーこれなら大丈夫だ」と思った私は、「ありがとうございました」「ここから先は一人でも大丈夫です」と申し上げ、一人で歩き始めた。
絶 景
フレぺの滝に着くと、展望台があったので上がってみる。
切り立った崖に水がしっとりと流れ落ちる。
まさに「乙女の涙」だ。
オホーツク海が一望できる。
これはいい眺めだ!
ネットで見たものよりもぜんぜんいい!
来て良かった!
しばらくすると、そのご夫婦もやってこられて、ご主人が「こんなにいい眺めだったかな!」と感動されていた。
私は「ご一緒させていただけたおかげで、こんな素晴らしい景色を眺めることができました」「ありがとうございました」と、改めてお礼を申し上げた。
お互いに写真を撮ったりした後、別れ際に「明日は、観光船に乗れたらいいですね」と言っていただけたので、
「ありがとうございます」「いい旅をしてください」と申し上げた。
私は、フレぺの滝を後にして、羅臼に向かった。