私は22歳の時に就職してから40年間、ずっと営業の仕事をやってきました。
照明器具メーカー、工場用品メーカー兼商社、ハウスメーカー他の会社で、そして現在は自営で不動産業をしています。
営業をしていると、当然のことながら「会話」というものが気になります。
その「会話に欠かせないものは話題」ですね。
その場、その時々に応じた話題を提供することができれば会話は弾みます。
若い頃は、お客さんを相手に「何を話したらいいものか」、話題がなくて苦労したものです。
今振り返れば、「若いうちは、人生や仕事の経験が少ないわけですから、話題がなくてもあたりまえ、調子よく話している方がおかしい」ぐらいに思えるのですが、当時はそうは思えず、悩んだものでした。
けれども、年齢を重ねていくうちに、いろいろな経験を積んでいきますので、自然に話はできるようになっていきました。
若い頃、ほとんど話ができなかった私でも、長年やっているうちに、「もう誰が相手でも大丈夫、なんとか話は回せる」というようになりましたから(笑)。
それと、若いうちは「照れ」や「恥じらい」もありますよね。(⌒∇⌒)
それも、年とともに薄れていき厚かましくなっていきますから(笑)。
話題豊富になるには
基本的には、人間、年齢を重ねれば重ねるほど、人生において、あるいは仕事においてといろいろな経験を積んでいきますから、自然と話題は豊富になっていきます。
その上で、プラスアルファを加えようと思えば、日頃から、いろいろなことに興味を持ち、情報収集のアンテナを張り巡らせておく必要があります。
まあ、これは難しく考えなくても、自分が興味があることにプラス、もう少し興味の幅を広げておこうという程度でいいと思います。
そして、それは広く浅くで構わないのです。
相手になにかしらの話題がヒットすれば、詳しくは相手の方が話してくれますから.
それを「なるほど、そうなのですね、フムフム (⌒∇⌒)」と聞いておけばいいのです。
そうすると、聞いた話がまたひとつ自分の話題として増えていきますよね。
とは申しましても「言うは易く行うは難し」ということもあります。
ひとつ、私の失敗談を紹介します。
なんてことだ、一度でも行っていたら会話が弾んだのに!
現在、私は不動産業をやっています。
5年ほど前に、商談で鎌倉のお客さんを訪れた時のことです。
そのお客さんは、鎌倉の大仏の近くに住まれていました。
「いいところに、住まれているのですね」
「いや、観光客が多くて大変だよ」
そんな会話から入っていき、商談も終わり、世間話をしていたところ、
そのお客様は、刀の鑑定をお仕事にされていることがわかった。
刀と言えば、私が育った備前は、名刀備前長船の産地であり、長船には「刀剣博物館」があり、そのことをお話すると、「あー、あの刀剣博物館には、2回ほど行ったことがあるよ」とのこと。
私は「そうなんですか!」と答えたものの・・・・・
次の言葉が出てこない。
私は内心「しまったぁー!」と思っていた。
その博物館は、私の友達の家の近くにあるのだが、館内には入ったことがなかった。
「なんてことだ、一度でも中に入って見学していたら、話ができたのに!」
このお客さんは、鎌倉から二度も訪れてくださっているというのに、「私は今までなにをやっていたんだ」と悔やんだ。
私は岡山に帰ってから、すぐに刀剣博物館を訪ねた。
二回行って、しっかりと展示されているものを見てきました。
二度と、こんな悔しい思いをすることがないように!
その数年後、久しぶりに会った同級生との会話の中で、この刀剣博物館の話題が出たことがあった。
もちろん、その時は、存分に話が出来て話が弾みました(笑)。
こういうことではないでしょうか。(手前みそになりますが 笑)
わからないことがあれば、その都度調べておく。
そうすれば、一つづつ知識が増えていき、だんだんと話題豊富になっていきますよね。
この世の中で、一番会話に長けている人は誰か
30歳のころに読んだ本にこんなことが書いてありました。
「この世の中で、一番会話に長けている人は誰か?」
それは「銀座のママだ!」
なぜなら、ママとの会話を楽しみに訪れるお客さんのなかには、職人さん、運転手さん、会社員、公務員、社長など、いろいろな人がいて、ママは、その方たちを同時に相手にしながら「興味をそらさないような会話をしなければならない」ので、相当な会話力を身に付けておく必要があるからだ。
私は「なるほどなあ!」と思ったものでした。
ママが、カウンターに座っているお客さんたち一人一人に話しかける。
すると、お客さんから、
この前、娘が結婚して・・・
ジャンボ宝くじ当たらないかなあ・・・
また、固定資産税の納付書が送られてきたわ・・・
コロナで売り上げが減ってたいへんやわ・・・
今年の阪神は強いなあ
この前のダービー的中したよ
今は・・業界の景気がいいらしいわ・・・・・etc
日常の出来事、世の中の出来事、趣味、政治、経済、スポーツ、ギャンブル・・・・・などなど、いろいろな話が出てくる。
それらに対してママは「どんな話が出てきても、臨機応変に対応して、お客さんに会話を楽しんでいただかなければならない」。そのためには、それなりの人生経験や社会経験が要るだろうし、自分の中にできるだけ多くの情報や知識をインプットしておく必要がある。
もはや「その域に達したのではないか」???と自負している私は、今、バーのマスターとか、タクシーの運転手を一度やってみたいと思っています。
「いろいろな人と話ができて楽しいだろうなあ!」(⌒∇⌒)
人は誰かに話を聞いてもらいたいもの
基本的に「人は、誰かに話を聞いてもらいたいものなのだな」と思います。
誰だって、自分の話を聞いてもらえて理解してもらえたら、うれしいものですよね。
例えば、今、自分が熱中していることや好きなことの話を聞いてもらえた時、
あるいは、仕事の内容とか大変さを分かってもらえた時とか。
私はお客さんと会話をするとき、相手の方から、できるだけそんな話を引き出して聞いてあげるようにしています。
そうすると、相手の方は、時間を忘れて延々と話されたりすることがあります。
そんな例を一つ紹介します。
私の妻のお父さんは、長年に渡り建築設計の仕事を自営でされていました。
現在はリタイアして仕事はされていませんが、現役の頃は、私がいつ訪ねて行っても、パソコンに向かい寡黙に仕事をされていて、食事も、家族とは一緒に取らずに、仕事の段取りがいいところでテレビを見ながら一人で取られていました。
私は、そんなお父さんの姿を見て「人と話すことが嫌いなのかあ?」「無口な人なのかなあ?」と思っていました。
私は住宅の営業をしていたことがあり、また、現在は不動産業をしているので、建築のことでわからないことがあれば、お父さんに聞きに行っていました。
すると、丁寧に教えてくれて、その後、お父さんの仕事の内容などを聞かせていただくと、さすがに経験豊富なだけに「以前、こういうことがあって」とか「それは、こういうことだよ」と興味深い話をとめどなく延々としてくれます。
そんなお父さんを見ていると、「そうか、お父さんの得意とする専門的な話を聞いてあげるとよく話されるんだ」「決して無口だということはないのだ」と思えました。
お客さんと話す時も同じですね。
相手の仕事の話や、好きなことの話を引き出してあげれば、自然と話は弾みますね。
相手の話を引き出し耳を傾ける
何度かお会いしている方なら、「そうそう、この前のあの話どうなりましたか」とか、相手が興味を持っている話をすればいいのですが、初対面の時やまだ何度もお会いしていない方と話す時は、相手の方がどういう人なのか、どんなことに興味を示されるのかが全くわかりません。
そんなときは、あたりさわりのないところから入っていき、話のきっかけをつかむようにします。
例えば、
一般の方のお宅を訪ねた時であれば、
「今日はいい天気で気持ちがいいですね」
「庭にきれいな花が咲いていますね」
「モダンないいお家ですね」
玄関先にゴルフバッグが置いてあれば、ゴルフがお好きな方なのかな、
ガレージにいい車が置いてあれば、「いい車ですね」と、会話のきっかけは身近にありますよね。
会社であれば、
「お忙しいですか」
「世の中、コロナでたいへんですよね」
「社員の方、皆さんがが挨拶をしてくださり、気持ちがいいですね」
「社内に活気がありますね」
「あの商品、評判がよくて売れてるらしいですね」等々
そんな話から入っていき、会話のきっかけをつかみ話題を展開していきます。
会話中は
「なるほど」
「そうなのですね」とか、テンポよく相槌を打ち、相手の話をよく聞いてあげて、気持ちよく話してもらうようにします。
リフレインする
「先週、コロナのワクチン注射を打ってきたよ」
「そうですか、もうコロナの注射を打たれたのですね」
「どうでしたか?」「痛かったですか?」
「この前、東京に行った際、スカイツリーに上ってきたよ」
「そうなんですか、スカイツリーに上られたのですか」
「どうでした?」
このように、相手が話された言葉を繰り返すことで、言葉が返しやすくなります。
また、会話が途切れそうになったら、リフレインしながら、次の話題を頭の中で探したりもしています。
会話が途切れたら
「そうですねー」といいながら、頭の中で次の話題を探したり
「アー」でも「ウー」(笑)でもいいから、とにかく思いつく適当な言葉を発して、会話を繋ぐようにしています。
※さすがに「アー」「ウー」は極端ですが、イメージとしたらそんな感じで、次の言葉を探します。
今は、そんなふうにしてなんとか話を繋いでいけるようにはなりましたが、若い頃は「沈黙の時があっても、それはそれでいい」「無理して話さなくてもいい」と思って、そうしていました。
というか、そうするしかなかったのかもしれませんが。
それでは会話にならない 「返事にひと言添えれば」会話がつながる
「美味しいですか?」
「美味しいです」
これでは会話が続かない。
「美味しいですか?」と聞かれれば、
「美味しかったですよ、とても甘かったです」と、答えれば、
「そんなに甘いの」と会話が繋がっていきます。
「消費税が上がりましたね」
「上がったね」
では、会話がつながらないけれども、
「上がったねぇー、そのおかげでたいへんだよ、俺なんか、妻に小遣いを減らされてしまったよ、参ったよ」(笑)
こんな返答ができれば、会話は繋がりその場も和らぎますね。
時には自分のことを話してみる
「先日、仕事でこんなことがありまして」
「このまえ、新聞に(今ならネットで見たかな)こんな記事が書いてありました」
「テレビでこんな興味深い番組をやってました」
「プライベートなことなのですが、先日、子供が生まれまして」(⌒∇⌒)
「子供が進学して学費が大変です」「おかげで小遣いを減らされました」(笑)
「車って長く乗っていたら税金が上がるのですね」「早く乗り換えろって、言わんばかりですね」(笑)
「最近積み立てNISAを始めたのですが、我々の世代には、ネットで手続きをするのがたいへんでした」
「今年、町内会の役員をしているのですが、結構、たいへんです」・・・・・等々
私は自分の身近な話題を出したりすることもあります。
そうすると、「俺もそうなんだよ」と共感されたり、「あの番組は俺も見たよ」と、共通の話題が見いだせることもあります。
ただし、これらの話題を出す時には、相手に失礼にならないよう、時と場合に注意しなければなりません。
下手をすると逆効果になりますから。
相手を「・・さん」と呼びかける
営業をしている人の中には、
お客さんからの電話を受ける際
「・・さん、お世話になります」と、開口一番「・・さん」とお客さんに呼びかけるように電話に出る人がいます。
また、私のお客さんで、ある社長さんは、私が電話をかけると「・・さん、なんでしょう」みたいに、同じく開口一番「・・さん」と呼びかけるように出られます。
このことは、電話の時だけではなく、話をしている時にも「・・さん」と名字を呼びながら、話をしてくださいます。
私は「・・さん」と呼ばれると、「親近感が持てて感じがいいものだな」という気がして、いつの間にか私も、人と会話をする際には「・・さん」と呼びかけるようになりました。
これも、相手によるでしょうから、誰が相手でもとはいかないかもしれませんし、若いときは使いにくいかもしれません。
参考までに。
会話の先生は身近にいる
日頃は営業マンとして売る側にいる私ですが、逆に、お客さんとして、電化製品、洋服、車等を買いに行った時には、その店の販売員の方や営業の方が、どのように私に接してくるのかを観察しています。
すぐには寄ってこず、タイミングよく声をかけてくださる人
ソフトな口調で丁寧にわかりやすく説明してくれる人
売ろう売ろうと押しつけがましくない人
きつく感じられる口調の人
すぐに寄ってきて押しつけがましい人
「この人上手いなあ」という人もいれば、「これでは売れないだろう」という人もいます。
「人の振り見て我が振り直せ」ですね。
そういう方々を生きた見本として、参考にさせていただいています。
余談ですが、最近は研修とかでよく勉強されているのでしょう。
以前よりも、全体的にかなり接客技術が上がっているように思います。
例
私の息子が車を買ったときのことです。
息子は、自分が納得いくまで「これは何ですか?」「これは?」と営業の担当者に質問をします。
その時担当してくださった営業の方はベテランの方で、息子の質問に一つ一つ優しく丁寧に答えてくださいました。
一通り質問して、最終的に2台のうちのどちらかに決めるという時がきました。
息子は「どうしよう?」と決めかねているようだったので、私は「ちょっと間を取った方がいいな」と思いました。
そうすると、営業の担当の方が「私は席を外しますので、お二人でごゆっくりとお話してみてください」と言われました。
私は「まるで私の気持ちが見透かされているのではないか」と思えるような応対ぶりに感心させられました。
同時に「こういう接客を大いに見習わなければ!」と思ったものでした。
他にも、息子の初めてのスーツを買いに行った時の男性の店員さんの接客、娘の初めてのスーツを買いに行った時の女性の店員さんの接客、ブルーレイレコーダーを買いに行った際の若い女性の販売員さんのわかりやすい説明等、感心させられることは何度かありました。
そんな時、「ああいう接客を見習わなきゃ!」て思わされますね。
無理して話す必要はないし、お世辞は言わない
私自身は「若い頃は、話すことがなければ、無理して話さなくてもいい」と思っていました。
そうすると、沈黙の間ができて、その場にいたたまれないような雰囲気にもなったりしますが、下手に軽々しい話をするよりも、そのほうが自然なような気がしていました。
今、振り返っても「それでよかったのではないか」と思えます。
特に「自分よりもかなり年上の方を相手にする時など、話がある方がおかしい、できなくて当たり前」ぐらいに思えます。
相手の方だってそう思っていることでしょう。
また私は今でもそうですが、「お世辞を言うことはありません」。
ただ、「この花きれいですね」「モダンないいお家ですね」「いい仕事をされていますね」と、自分がそう思ったことは口に出して言います。
その際、「7から8そう思ったとしたら、10ぐらいにして言う」ことはよくあります。
いわゆる「盛る」というところでしょうか(笑)。
けれども、それは噓ではなく本当にそう思ったことなのだから、ちょっぴりオーバーに褒めてあげればいいと思っています。
褒められて悪い気持ちになる人はいませんから。
あとがき
私は若い頃は、気心しれた友達と話す時などは、普通にしゃべれていましたが、営業でお客さんと話す時は、あまりというか、ほとんど、しゃべれませんでした。
それは、「何を話したらいいのかわからない、話すことが思いつかない」ということもありましたが、たとえ、話が頭の中に浮かんでも、「躊躇してすぐに言葉を発することができずに、会話に入っていけない、そのうち話すタイミングを逸してしまう」というようなことがよくありました。
それは、自分に自信がなくて、相手に臆するとか、恥ずかしさや照れもあったように思います。
それでも、30歳、35歳・・・・・と年齢を重ねていくうちに、だんだんと自然に話せるようになっていきました。
それは、仕事で人生で、いろいろな経験を積んでいくうちに、自分のなかに知識や情報が増えていったからだと思います。
また、自分にちょっぴり自信が持てるようにもなり、若い頃特有の恥ずかしさや照れも薄れてきたからではないかと思えます(笑)。
ですから、今「話せないなあ」と悩んでいるような人でも(私の娘がそうです)(⌒∇⌒)、「だいじょうぶ、そのうち自然と話せるようになります!」。
「それでは困る」今すぐそうなりたいと思われるかもれません。
私もそう思っていましたから(笑)。
けれども、何事も一朝一夕には成せません。
日頃から「なんとか話せるようになりたいなあ」と思っていれば、そのうち、話せるようになります。
プライベート、仕事、いろいろな場面で会話は潤滑油になります。
楽しい会話ができた後は、気分がいいものですよね。
そんな会話ができるようになればいいですね。