松山選手がゆっくりと18番ホールのグリーンに上がっていく
それをグリーンを取り囲んだたくさんのパトロンがスタンディングオベーションで温かく迎えてくれている
こんなシーンが見られるとは!
夢を見ているみたい
ウイニングパットを決めた瞬間
やった!
ついにやった!
ついに日本人選手がメジャーを制した
実況のアナウンサーは沈黙し、言葉が出てこない
私は感無量で、その時、55秒もの沈黙があったことがわからなかった
やっとアナウンサーが発した言葉は涙声だった
解説者の中島常幸プロは、嗚咽していて言葉にならない
同じく解説者の宮里プロも泣いていた
私も目頭が熱くなった
青木が、尾崎が、中島が、丸山が、
日本のトップ選手が何度も挑戦しては、その厚い壁に阻まれてきたメジャー
それを、ついに松山選手が突き破ってくれたのだ
それも、メジャーの中でも、世界中のプロゴルファーが一番あこがれるマスターズに勝ったのだ
日本人選手が初挑戦して85年が経つと聞いた
85年かかったのだ
こんなにうれしいことはない
次の日、丸山選手はインタビューを受けながら泣いていた
スポーツ紙は、トンネルズの石橋貴明も優勝の瞬間、泣けたことを報じていた
ゴルフファン、プロゴルファーはこの時を待っていたのだ
もう何十年も!
だから、みんな自分のことのようにうれしくて涙を流したのだ
おめでとう! おめでとう! おめでとう!
よかった! よかった! 本当によかった!
そして、ありがとう!
やっと、日本人選手が、グリーンジャケットに袖を通す時がきたのだ。