kyokai-kakunin

土地や中古住宅を購入する際は、隣地との境界確認をしておくことが、とても重要である。
「そんなことは当たり前じゃないか」と思われるでしょうが、先日、土地売買の取引をした時に、こんなことがあった。
不動産業をしている私は、売主から売却の依頼を受けると、一通りその土地の調査をするのですが、その際、隣地や公道との境界もしっかり確認します。

先日、取引した土地は、境界ポイントが4カ所あったのですが、そのうちの1カ所に境界標がありませんでした。
このままでは取引ができないため、私は、土地家屋調査士に境界標の復元を依頼しました。

ここで私は疑問に思いました。
この境界標がないポイントは、4区画の土地が交わる接点になり、その内の1区画は、最近、新築されたばかりの家なのですが、
「この方は、土地を購入する際に、境界の確認をしなかったのだろうか?」
「境界を確認することなく、土地を買ったのかな?」
と。

先に、この方が土地を購入されたのだから、その際に「ちゃんと境界確認をしてくれていたら、今回はする必要がなかったのに」とも思いました。

以前にも、境界の確認をしようと、隣地の方に尋ねたところ、「説明を受けていない」というようなことがあり、若い人は「境界のことを重要には思っていないのかな?」と思えました。

境界の明示については、売買契約書に
「売主は、買主に本物件引き渡しのときまでに、隣地との境界を現地において明示する」との条項があります。

この条項を遵守していれば、上記のようなことは起きないはずです。

買主は、土地や中古住宅の購入時に境界が明らかでない場合は、売主に対し「境界明示をしてください」とお願いすればいい。
もちろん、その費用は、売主の負担になります。

境界のことで隣地とトラブルになることもあります。
トラブルには至りませんでしたが、私が土地や中古住宅の取引で、実際に経験したことを下記に記載しておきます。

・隣地の植栽が越境して入ってきている。
解決法 隣地の方にお願いして伐採していただきました。

・隣地の境界ブロックが越境してきていた。
解決法 すぐに簡単に直せることではないので、「将来、工事をする際には、境界内に控える」ということで、
買主に納得していただき、その旨を覚書にして交わした。

・隣地の屋根が越境してきている。
解決法 上記のブロックの越境の場合と同じです。

・隣地の水道管が敷地内を通っていた。
解決法 1000坪ぐらいの大きな土地で、買主が「仕方がないので、端っこの方に移してくれたらいいよ」と言ってくださったので、そのようにさせていただきました。

・隣地の排水溝が敷地内を通っていた。
解決法 上記と同じ土地で、その隣地の方は、土地を買う際に「排水はここを通してもいい」という話があったとのことだったので、「そのままで構わない」ということになりました。

・境界確定測量をすると、道路上に土地の境界ポイントがあることが判明した。
さすがに、道路上に構造物を設置するわけにはいかないということで、その部分よりも控えて塀を設置しました。

・境界確定測量をすると、境界ブロックが隣地に80cm越境していたことがわかった。
解決法 この土地には建物が建っていて、買主は購入後、解体撤去して新築する予定だったので、解体する際に、  
ブロック塀も撤去しました。

・700坪ぐらいの土地で、境界確定測量をしたところ、登記簿面積よりも16坪小さかった。
解決法 契約時に「公簿取引ではなく、契約後、境界確定測量をして実測取引とする」としていたので、実際の面積分の金額を支払うだけで済みました。
公簿取引としていたら、16坪分も余分に支払い、損をするところでした。
買主から感謝されました。(⌒∇⌒)

公簿取引 契約時に登記簿面積とする場合、契約後、実測をして登記簿面積と実測面積との間に差異が生じても、清算はしない。

 実測取引 契約時に実測取引とする場合、契約後、実測をして、登記簿面積と差異が出た場合には、精算をする。

境界が明らかで、登記簿面積が信頼できそうであれば、公簿取引でいいでしょうが、境界が不確かな場合は、実測取引としておいたほうがいいでしょう。

以上、上記のようなことがあり、仲介業者として買主と相手方の間に入り、より良い方法を考え、解決に導きました。
そして、取り決めた内容は、「覚書」にして交わしておきました。

昔からの古い土地は、境界がはっきりしていないケースが結構有りますので、土地や中古住宅を購入する際には、しっかりと境界確認をしておいたほうがいいでしょう。