マイホーム購入を考える「これからの住宅市場はこうなるのでは」

我が国の住宅市場に占める新築の割合は約85%で既存住宅は約15%程度である。

これは2013年のデータなので、現在は、もう少し既存住宅が増えているだろうと思われるが、既存住宅のシェアが80%から90%もあるアメリカやイギリスと比べると、極端に少ない。

これまで、「我が国では新築志向が強く、新たな土地を買って新築する、あるいは既存の住宅を解体撤去して建て替える」という行為を繰り返してきた。

それは、戦後、物資が不足していた時に建てられた家の質が良くなかったということもあり、「木造住宅なら25年も経てば、また建て替えなければいけない」という考え方になったのではないか、また、日本人の「きれい好き」という気質も影響しているのではないか、と考えられる。

そんなことから、「木造住宅は25年も経てば家の価値はない」というような考え方が定着していて、中古住宅の取引の際にも、例え、メンテナンスが施されていて、しっかりしている住宅であったとしても、その真の価値を正当に評価されることはなく、築年数により価格が決められてきた。

最近は質の良い中古住宅が増えてきた

しかしながら、阪神大震災以降、木造住宅の強度が上がり、建材も良くなったことから、近年建てられている家は、以前に比べるとかなり質が向上しています。

そのため、25年も経てば家の価値はない、というような考え方は当てはまらなくなってきており、中古住宅でもしっかりした丈夫な家は増えてきている。

国の方ではこういう既存住宅を有効活用し、その流通を促そうとこの4月に宅建業法を改正し、「建物状況調査(インスぺクション)に関する項目」を追加した。

この建物状況調査(インスぺクション)を実施することは、売主と買主の双方が、安心して取引ができるようになり、建物を正当に評価する基準にもなり、既存住宅の市場を活性化していくことと考えられる。

また、既存住宅の取引が増えるということは、現在、社会問題になっている空き家の対策にもつながっていくと考えられる。

近年の若者の考え方が市場に及ぼす影響

私は仕事で、これから新築されるお客さんが土地を購入するという、取引の場に関わらせていただくことがある。

そういう時に、お客さんに「どこで建てられるのですか?」とお尋ねすると、聞いたことがないような会社の名前を聞かされることが増えてきた。

私は以前、住宅の営業を11年間していたので、ほとんどのハウスメーカーや地元の主な工務店は把握していたつもりだが、それが通用しなくなってきている。

取引が終わり、家に帰ると早速、「どんな工務店でどんな家を建てているのだろう?」とネットで確認してみると、

「なるほど、特徴のあるモダンな家を建てている」「これは既存のメーカーではできないのでは」ということがわかってくる。

近年は、インターネットで、それぞれの工務店や設計事務所が自社の特徴を積極的にPRしており、お客さんはそれらをしっかりと情報収集したうえで、「自分たちの望み、感性を充たしてくれるのは、この会社ではないか」ということを見定めているのだ。

最近は、会社の大小とか、ブランド云々ではなく、それよりも、「自分の感性を大切にする若者が増えているのだ」

それは、「中古マンションを買って、自分たちの好み、感性、ライフスタイルに合わせたリノベーションをする」「中古住宅を買って、自分たちの好みに合うよう、大幅なリフォームをする」ということにも現れている。

私の知り合いの若い大工さんは、新築するよりも高いお金をかけて、古民家を、「昔ながらの良さを残しつつ、住みやすいように」再生した。

こういう若者たちの考え方は、従来の新築一辺倒だけでなく、既存の住宅も選択肢となり、住宅市場における既存住宅の市場を拡大することに繋がっていくだろう。

消費税10%が市場に及ぼす影響

来年の10月に消費税が10%に上がる予定ですが、そのことが、住宅市場に及ぼす影響があるでしょうか?

私は、「今後はファミリー向けの賃貸住宅を借りる人が増えてくるのではないか」と考えています。

それは、住宅も10%に上がるのであれば、2000万円の住宅を購入する場合、その10%というと200万円にもなる。

「税金に200万円も払うのであれば、賃貸にしよう」と考える人たちが増えるのではないか、と思うのです。

賃貸であれば、「結婚して夫婦二人の時は、1LDKや2LDKに住み」、「子供たちができて、もう少し広いスペースがほしい」となれば、それにあった賃貸住宅を借りるというような、「その時々のライフスタイルに合わせた賃貸住宅を選択できるし、固定資産税等もかからない」というメリットもあります。

また、最近では、借主が自分の費用負担により、自分の好みに合わせたリフォームができるという「DIY型賃貸借」という新しい賃貸借の形が出てきており、それも後押しになるかもしれません。

今後は、新築・中古住宅購入・中古マンション購入に、もう一つ賃貸という選択肢が増えてくるかもしれませんね。

 


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