マイホームは、いつ購入するのが良いか?
私やその周囲の人間はどうだったのか、また、私の住宅営業の経験からアドバイスさせていただきます。
私が24歳の頃、友達が近くで売りに出た建売住宅を買った。
話を聞くと、「見に行くと良かったので、ハンコ押してきたわ」とのこと。
それを聞いた私は「相変わらずいい加減なやつだ、まあ、あとさき考えない、あいつらしいな」と呆れたものだった。
思い立ったが吉日
その数年後、私はマンションを買った。
その頃、私は車で通勤していたのだが、会社の近くでマンションの建築工事が始まり、マンションが建つと日当たりが悪くなる周辺の住民たちが反対運動を繰り広げているのを、「そりゃあ、こんなところに建てちゃあだめだよな」と思いながら見ていた。
けれども、日に日に貼られていくバラを見ているうちに、「このマンションがこんなに売れているのなら、次に出てくるマンションはもっと高くなるな」と思い始めた。
まだバブルの余韻冷めやらぬ頃で、金利はなんと今では考えられない6%という高金利だった。
当時、私が31歳、まだ独身で、少々小銭が貯まってきたので、「車でも買おうか、ゴルフ道具でも買おうか」といつもの良からぬ考えが芽生えてきていた頃だった。
「待てよ、こんなことを繰り返していても同じことを繰り返すだけだ、お金がもったいない」「そうだ、不動産でも買って借金でもしていれば、こんな良からぬ考えも出てこなくなるだろう」と考えた私は、「思い立ったが吉日」、そのマンションを買うことにした。
友達が家を買ったときのことを、呆れていた私だったが、自分の時も同じようなものだった。
「まあ、適当なお前らの話はいいから、もっと、まともな話を聞かせろ」。
わかりました。
私が11年間、「住宅営業をしていた頃に出会ったお客さんたちが、どのようにされていたか」をお話しましょう。
時間が大きな財産になる
私が成約させていただいたお客様の年齢で多かったのは、30歳前後から35歳前後の方でした。
そのくらいの年齢になると、社会に出て働き始めて10年ぐらい経ち、仕事も安定してきて、いくらかの蓄えもできてきたので、「そろそろマイホームでも考えようか」となるのだと思います。
お客さんのなかで一番若かった方は、ご主人が23歳、奥様は21歳のご夫婦で、お子さんが一人おられて、二人目がこれから生まれてくるというご家族でした。
そのくらいのご年齢の方が、もう一組おられました。
若い方とお話していて、私が思ったことは「時間が財産になる」ということでした。
当然、まだ若いから、蓄えのほうも少ないのですが、これから35年のローンを組んだとしても、58歳のときには完済できるということになります。
ということは、融資を受けられる場合は、「マイホーム購入は、早ければ早いほど良い」ということになります。
「若いということは、時間という大きな財産を持っているのです」。
40歳を超えると決断ができなくなる
逆に、40歳を超えられると、決断ができなくなる方が多かったように思います。
人間は年を重ねるとともに、社会経験を積んでいくことで、いろいろなことがわかってきて、40歳ぐらいになると先のことも考えるようになり、慎重になったりもします。
それは悪いことではないのですが、時に、「若かった頃の勢いを鈍らせる」という面もあります。
そこから35年のローンを組むとすると、完済できるのは75歳。
「そのときまで、私は生きているのだろうか」という心配も、冗談ではなく生じてきます。
こうなると、「ローンを組んで新築をするということ」に対して不安になり、決断ができなくなるのです。
40歳を過ぎても、マイホームを購入できる方は、かなりの自己資金を準備されている方で、ローンを組んで購入しようという場合、年を取れば取るほど、その実現は難しくなっていくように思われるのです。
定年退職時にいくらローンが残っているか
住宅営業をしていた頃、銀行の担当者から、融資の審査をする際に、「定年退職時にいくらローンが残っているのか」「退職金でローンの完済ができるのか」そのあたりもチェックポイントになると聞きました。
なるほど、定年退職後は収入がなくなるわけだから、その後も、ローンがあるようでは、返済が滞るのではないか、という不安が生じるわけですね。
「定年退職する頃には、住宅ローンがほぼ完済できているか」、マイホームの購入を考えるとき、大きな目安になると思われます。
時には勢いも必要
マイホームの夢を実現をするために、5年ぐらいの長期計画を立て、しっかりと資金を貯めておられるお客さんに出会ったりすると、「堅実に計画を実行されているなあ」と感心したものですが、「思い立ったが吉日」とばかりに、「勢い」で実現された方も結構おられました。
大きな資金が必要なだけに、慎重にもならざるを得ないのですが、「時には勢いも必要」ではないか、と私は思います。
なんでもかんでも「早ければ早いほうが良い」というものではない
なんでもかんでも早ければ早いほどよい、というものではなくて、気をつけたいのは「夫婦仲」です。(笑)
どういうことかというと、現在、不動産業をしている私のところには、家を購入した数年後に、「離婚したんですけれど、家を売ってもらえませんか」というような相談がたまにあります。
こういう場合、「売れる場所ならまだ多少のローンが残る程度で済む」のですが、売れないとなれば、「これから先、何十年もローンを払い続けなければならない」ということにもなりかねません。
「私たち夫婦はそんな心配とは無縁」という方は、早い方が良いということです。(ちょっと、冗談めいた話になりましたが・・・)
まとめ
ここまで、マイホーム購入は、「思い立ったが吉日」「早ければ早いほど良い」「時には勢いも必要」と申しあげてきましたが、理想は、「マイホームの夢を実現するために、計画を立て、その計画通りにしっかりと資金を貯めてから実行に移す」ことだと思います。
しかしながら、なかなかそうはいかない人もおられると思います。
実際に、私が建てさせていただいたお客様も、しっかりと計画を立てて、というよりも、「思い立ったが吉日」というお客様のほうが多かったように思いますし、私自身もそうでした。
そういう方は、「思い立ったが吉日」「早ければ早いほど良い」「時には勢いも必要」というような考え方もある、ということを参考にしていただければ幸いです。
何れにしても、マイホームを購入するということは「夢があり楽しいことです」。
その夢の実現に向けて頑張って下さい。
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エピソード マイホーム購入 私の場合
上述したように、私は31歳 、独身の時にマンションを買いました。
当初は一戸建ても検討しましたが、なにせバブルの余韻残る頃、まだまだ土地、建物は高価で、「一戸建ては、普通のサラリーマンではまず無理」という時代でした。
(現在なら、私がマンションを買った価格で、土地を買い、家を建て、かつ、お釣りもあります)(笑)
住宅金融公庫で35年間のローンを組み、その金利は、当初5.6%でスタートして、6年目からは6%に上がるというステップアップ返済というものでした。私に限らず、この右肩上がりの好景気が続くと信じられていた当時は、ほとんどの人が、このステップアップを使っていました。
(どうですか、金利が1%前後で推移している現在では、考えられない高金利でしょう。この金利だと、払っても払っても、金利分を支払っているだけで、なかなか元金が減らなかったんですよ)
その後、周知のとおり、バブルはあっけなく破裂して、右肩上がりに増えていくだろうと考えられた給料は上がらず、多くの人が返済に困り始め、このことは社会問題にもなりました。
私のほうも御多分に漏れず、給料も上がらず、返済がきつくなっていきました。
その数年後、結婚した私は、妻のほうに小さな土地があり、その頃は、金利も3.2%に下がってきていたので、マンションを売却して、いったんマンションの住宅ローンを終わらせ、「今度はできるだけローンの負担を小さくするため」、借り入れをできるだけ押さえようと、小さな家を建てました。
「あのまま、マンションの支払を続けていたら、かなりしんどかったのではないか」と思います。
現在私は58歳、その家を建てたときが37歳で、そのとき25年のローンを組みましたので、あと4年でローンを完済ということになりますね。
「そうか、あと4年なんだ」(笑)
ついこの間、家を建てたような気がするのですけれど、時が経つのは早いものですね。
振り返ってみると、私の場合は、マンションを購入した時も、一戸建てを新築した時も、「思い立ったが吉日」でした。
それで「良かった!」と思っています。