備前市で育った私は、学生の頃、アルバイトで備前焼の土を掘りだしたり(伊部の田んぼの奥深いところから掘り出すのですよ)、掘り出した土から小石を取り除く作業をしたり、窯焚きもした。
そういうなかで自然に、備前焼が完成するまでの工程を覚えていった。別に興味があったわけではなく、単なるお金儲けのアルバイトという感覚ではあったが、それでも「窯焚きの炎」は強く印象に残っている。
土と炎の芸術
作品を登り窯に詰めて、窯の大きさにもよるが、だいたい13日間ほど昼夜ぶっ通しで、たき口から松割木をどんどん入れていく。「その窯の中の温度は1200度ぐらいまで上がる」と聞いた。
深夜の暗闇の中、たき口から薪を入れる時に窯の中を覗くと「炎がゴォーゴォーと燃え盛り、その炎の後ろには真っ白な作品がうっすらと見える」その光景は神秘的だった。まさに「土と炎の芸術」そのものだった。
古き良き伝統を守り続け「うわぐすりをかけないで、良質の陶土をじっくり焼き締める」この自然な作り方から生まれる備前焼は素朴で手作りの温もりが感じられる。
そんな備前焼に会いに伊部のまちに来てください。
「きっと恋しますよ!」
それでは、備前焼の故郷である伊部(いんべ)のまちをご案内いたします。
備前焼伝統産業会館
伊部駅に着くとまず備前焼伝統産業会館を訪ねましょう。伊部駅とこの会館は同じ建物内にあるので、いったん駅を出て伝統産業会館の入口から入りましょう。
この会館は1階が観光センターになっていて、お土産の販売や観光案内のコーナーがあります。観光案内のコーナーには観光案内地図や備前焼に関するパンフレットが置いてあるのでいただいて行きましょう。
その中にある「伊部散策地図」を見ながら伊部のまちを散策されたらいいでしょう。
またこの備前焼伝統産業会館の2階は備前焼の展示販売をしています。そこにはたくさんの備前焼がありますので見て回るのも楽しいですよ。
会館を出ると、正面には伊部の駅前の町並みが見えます。ここからは備前焼の煙突が見え「焼き物のふるさと」の風情を感じることができますよ。
※毎年10月の第3日曜日とその前日の土曜日は「備前焼まつり」があり、この伊部のまちに多くの焼き物ファンが訪れ大いに盛り上がります。2018年は、10月20日と21日です。
2022年10月15日・16日、3年ぶりに備前焼祭りが開催されます。
備前焼ミュージアム
伊部駅、備前焼伝統産業会館から道をはさんだところに「備前焼ミュージアム」があります。ここには、備前焼の歴史を伝える古備前や人間国宝をはじめとする現代作家の作品、関連する資料等が展示されています。
自動車で来られる場合は、このミュージアムに駐車されればよいと思いますが、平日なら空いていると思いますが、週末あたりは車が多くて駐車できないかもしれません。
伊部のまちを散策
駅前通りを歩くと、備前焼のお店が立ち並んでいますので、お店に寄りながら、いろいろな備前焼を見て堪能してください。しっとりと落ち着いた街並みです。
こじんまりとした街なので、そんなに歩き回ることもなく、ゆっくり、じっくり観賞できますよ。
この公園の地面には、子供たちが書いた図や文字の備前焼の陶板が埋め込まれています。ベンチに腰かけてゆっくりお楽しみください。
如何でしたか、焼き物のふるさと「備前」を十分に堪能していただけましたか。
ぜひ一度お越しいただき、焼き物のふるさと「備前」を肌で感じてほしいと思います。
備前焼のふるさと伊部へのアクセス
JRの岡山駅から赤穂線に乗り、伊部駅まで約40分です。大阪方面から訪れる場合は、姫路駅か相生駅まで新幹線で来て、そこから山陽本線、赤穂線に乗り換えして訪れることもできます。
自動車で訪れる場合は、山陽自動車道、和気ICで降りて国道374号線を南に向けて約6kmぐらい走ると国道2号線の伊部東交差点があります、そこを右折して伊部駅に向けて走ります(交差点から伊部駅までは約600mです)。
備前焼を鑑賞後、伊部から約6kmのところにある、日本刀の聖地「備前長船刀剣博物館」を訪ねられるのもお勧めです。(⌒∇⌒)
詳しいアクセスは、備前焼の里 伊部・備前長船刀剣博物館へのアクセスをご覧ください。