小学生の時、体が大きくてやんちゃな友達がいた。

その友達は、同じクラスの子たちを子分のように引き連れていて、その子たちに、事あるごとに「あーしろ、こーしろ」と偉そうに指図をしていた。

まだ小学生だったから、殴ったりとか、蹴ったりとか、お金を持ってこいみたいな話はなかったと思うが、それでもその子たちにしてみれば、面白くなかったのだろう。

日頃からその親分のことを疎ましく思っていた。

その子分たちの中でもそれなりに序列のようなものがあり、ナンバー2にあたる子が二人いた。

この二人はとても仲が良かった。

ある日のこと「さすがに堪忍袋の緒が切れたのだろう」、この二人が親分に対して反旗を翻した

この二人が中心になり、他の子たちとも申し合わせて「あいつを無視しよう」「もうあいつとは遊ばないし、口も利かないようにしよう」ということになった。

それは見事に決まり、一夜にして立場が逆転!

その日以来、その親分のことをグループの誰も相手にしなくなった。

私はその親分が放課後、ジャングルジムで一人寂しそうに遊んでいる姿を見て、かわいそうに思えた。

私自身はその時はクラスが違っていたし、たまにその親分やナンバー2の人たちとは遊ぶことはあったが、そのどちらかにつくということはなかった。

あれは5年生か6年生の頃だったかな、その状態は卒業するまで続いていた。

中学生になると、他の小学校の人たちと一緒になり、クラスも増えるので、いつしかそんな状況はなくなっていた。

中学生の時に、私はそのガキ大将だった友達と一緒のクラスになったこともあるし、高校も同じだった。

あの小学生時代の一件以来、そのガキ大将の友達は大人しくなった。

偉そうな態度を取るようなことはなくなり、至って普通の人(⌒∇⌒)になった。

大人になった

あの小学生の時の苦い経験が、彼には堪えたのかな、

あの経験は彼にとっては良かったのかもしれない。

いつの時代になっても、いじめの話や争いごとは絶えない。

そんな話を耳にする時、ふと、小学生の時のあの一件が思い出される。

3年前、還暦を祝う中学校の同窓会で、半世紀ぶりぐらいに彼に会った。

元気でしているとのこと、反旗を翻した側の友達は来ていなかった。