更地にした場合の固定資産税

全国各地で空き家が増え続け社会問題になっている。

空き家を放っておくと老朽化が進み、近隣への迷惑、環境悪化、用心が悪い等、いろいろな面で悪影響が出てくる。

そうは分かっていても「解体撤去するには費用がかかるし、更地にすると固定資産税が上がるから」という理由で、そのままにしておられる方もおられるのではないかと推測される。

その固定資産税がいくら上がるのか、実際に空き家になっていた私の実家を例に試算してみた。

家が建っている場合と更地にした場合 固定資産税の比較

住宅の敷地の用に供されている土地については、

「住宅の敷地で住宅一戸につき200㎡までの部分は、固定資産税評価額が6分の1に軽減される」という措置があります(200㎡を超える部分は軽減額が変わります)。※平成29年度税制による

家屋を撤去して更地にするとこの措置がなくなるため、単純に考えれば、「固定資産税が6倍になるのではないか」とも考えられるところです。

私も今まではそんなふうに考えていたのですが、「本当にそうなるのだろうか?」と試算してみました。

・現在の建物がある状態

固定資産税  土地税額 約16,500円  家屋税額 約24,800円

都市計画税  土地税額 約4,700円   家屋税額 約3,500円

総合計 約49,500円

・更地にした場合

固定資産税  土地税額 約54,400円  家屋なし

都市計画税  土地総額 約7,800円   家屋なし

総合計 約62,200円

上記のように、住宅が建っているときの土地の税額、約16,500円が、更地にすると約54,400円と、約3.3倍になります。(あくまでも私の家のケースであり、それぞれの家の状況により差異があります。役所に尋ねると、一般的には約4倍ぐらいになるのではないか、との回答でした)。

なぜ、6倍にならないのかというと、この土地は200㎡以上の部分があり、その部分は、もともと6分の1までの軽減が受けられないことと、この土地の場合は、固定資産税に対する税負担の調整措置があるからです。

(但しこの負担調整額は地目により、また状況により異なりますので一概にはいえません。あくまでもこのケースの場合はということです)

土地の税額は約54,400円に上がりますが、建物がなくなるため、

総合計では、約49,500円が約62,200円になり、更地にすることで約12,700円の増額ということになります。

※2018年4月現在の税制での概算です。

この約12,700円の増額をどう考えるか、それは人それぞれでしょうが・・・・・何れにしても、空き家をどうするか、賃貸か、売却か、もしくは解体撤去して更地にするか、悩ましいところです。

我が家の場合は、父が亡くなった後、空き家として約17年間管理しましたが、昨年思い切って売却しました。

幸い私自身が不動産業をしておりますので、その手続きはすべて私自身が行いました。

また現在、同じく20年近く空き家のままにしておいた妻の祖父の家の売却の手続きをしているところです。

以上、参考にしていただければ幸いです。