私が育った備前には、世界に誇れる二つの伝統工芸品がある。
一つは備前焼であり、もう一つは、備前長船の名刀である。
今回は、備前長船の名刀の中でも、福岡一文字派の最高傑作と言われている「太刀無銘一文字」山鳥毛を見てきた。
この名刀は、戦国武将の上杉謙信・景勝親子の愛刀としても名高く、「山鳥毛」の呼び名は、高低差のある華麗な刃文が、山鳥の羽毛に見えることから名付けられたと言われています。
この刀は、博物館に常時展示されているのではなく、期間を限定して展示されている。
私は、山鳥毛を一度見てみたいものだと予てより思っていたので、今年の夏の終わりに展示されると聞き見に行った。
開催も終わりに近づいていたので、混雑を避けようと、平日の午前中、早めに行ったのであるが、さすがに「山鳥毛」の人気は凄い!
10時前に、駐車場に着いたのだが、既にかなりの数の車が駐車してあった。
ナンバーを見ると、高知、姫路、広島、和歌山、浜松・・・・・と、全国各地から見学者が訪れていた。
館内に入り、入場券を買う。
大人一枚1,000円だった。
以前来た時より、値上がりしたのかな?
これも、山鳥毛の人気からか?(笑)
国宝の展示だからか、随所に警備員を配置しているのが目につく。
私はこの博物館を訪れるのは三度目なので、今回は「山鳥毛」を見るのが目的であり、他の刀は、簡単に見て回った。
「山鳥毛」はどこに展示しているのだろう?
1階にはなかった。
2階に上り、警備員の人に尋ねてみた。
「山鳥毛はどこにありますか?」
すると、警備員の方は「あそこです」と、2階の展示室の真ん中あたりに置いてあるガラスケースを指さされた。
近づいていくと、一人の人が見学していた。
そして、ガラスケースの手前には警備員がいて、その横で、一人の人が順番待ちをしていた。
「そうか、並んでいるのだな」
私の前の人の順番が来ると、警備員の人が「見学時間は2分間です」と説明をしていた。
そうか、2分間しか見れないのか。
私の順番が来た。
私も同じ説明を受けたのだが、「もう一度見たいのであれば。また並んでくださればいいです」とも補足説明してくれた。
ガラスケースに近づいていく。
他の刀は、横に長い大きなガラスケースの中に並べて展示されているのだが、山鳥毛だけは、一振りだけ、専用のガラスケースに展示されていて、その空間だけは、落ち着きのある灯りに照らし出され、厳かな雰囲気が漂っていた。
刃文をじっくりと見る。
これは凄い!
まるで「白い炎が燃え上がっている」ようだ。
迫力があり、眺めていると、私の心まで燃え上がってくるような、そんな気さえした。
うーん、これは凄い!
いつまででも、眺めていられる。
私は実際に見るまでは、刃文が凄いと言われても、果たしてどうなのかな?
という思いもあったのだが、
確かにこれは凄い。
警備員の方から「2分経ちましたので」と言われ、その場を離れたのだが、もう一度見ようと、すぐに順番待ちの列に並んだ。
2度目は、私の後ろには誰もいなかったので、じっくりと、食い入るように、刃文を眺めることができた。
刃の根元の方にある、刃こぼれも見ることができた。
これは何度見ても、魅入ってしまう!
上杉謙信・景勝親子に愛され。上杉家に大切に保管されてきた「山鳥毛」。
やはり、実物は凄かった!
来て良かった。